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中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)で退職金
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「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」は、引続き1年以上を経営している中小企業が加入できる「公的な共済制度」です。
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、中小企業の連鎖倒産を防ぐために設けられた共済で、もし万が一、取引先が倒産して損失を被った場合には、積立てた金額の最大10倍(最高8000万円)を「無利子・無担保・保証人不要」で借りることができます。
また、掛金は、最大で年間240万円まで積立てることができ(上限800万円)、掛金が全額控除になるという特徴を持っています。
その上、40ヶ月以上、掛金積立を行っていれば、解約をした際には「100%」の解約手当金を受け取ることができますので、会社経営の保険としてだけではなく、これを退職金として利用することもできます。
掛金の全額が損金扱い(所得控除)になり、たった3年4ヶ月積立てれば、あとはいつでも100%の積立金が受け取れる金融商品なんて、民間の保険では、まずありません。
ですので、中小企業の経営者、個人事業主は、ぜひ、利用することをお勧めします。
また、中小企業倒産防止共済の解約手当金は、何に利用しても構いませんので、従業員の退職金や福利厚生として利用することもできます。
- 中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)に加入できる人
中小企業倒産防止共済は、どの企業でも加入できる制度ではありません。
引続き1年以上、経営を続けている中小企業(自営業)で、かつ、下記の条件に当てはまる場合にのみ利用できます。
・ 従業員300人以下、または、資本金3億円以下の製造業、建設業、運輸業、その他の業種の会社、および、個人事業。
・ 従業員100人以下、または、資本金1億円以下の卸売業の会社、および、個人事業。
・ 従業員100人以下、または、資本金5000万円以下のサービス業の会社、および、個人事業。
・ 従業員50人以下、または、資本金5000万円以下の小売業の会社、および、個人事業。
・ 企業組合、協業組合など。
また、加入後に従業員が増えても、共済契約は継続できます。
ちなみに、複数の会社を経営している場合には、その会社それぞれで、中小企業倒産防止共済に加入することができます。
つまり、「1企業(1個人事業)に、1契約」ということです。
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)への加入は、
・ 全国の金融機関(銀行や信用金庫など)の本支店
・ 商工会連合会
・ 市町村の商工会
・ 商工会議所
・ 中小企業団体中央会
・ 中小企業の組合
・ 青色申告会
など、独立行政法人 中小企業基盤整備機構と業務委託契約をしているところで加入できます。
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)に加入できない人
上の説明では、引続き1年以上、経営を続けている中小企業(自営業)なら利用できると書きましたが、下記のいずれかに該当する場合には、加入できないようになっています。
1.住所、または、本業である事業の内容の変更を繰り返し行ったため、継続的な取引の状況を把握することが困難な方。
2.事業の経理内容が不明の方。
3.既に貸付けを受けた共済金、もしくは、一時貸付金の返済を怠っている方。
4.中小機構から返還請求を受けた共済金、もしくは、一時貸付金、または、解約手当金の返還を怠っている方。
5.納付すべき所得税、または、法人税を滞納している方。
6.12か月分以上、掛金の納付を怠ったり、または、不正行為により、共済金、もしくは、一時貸付金の貸付けを受けようとしたこと等のため、中小機構によって、共済契約を解除され、解除された日から12か月を経過していない方。
7.不正行為により、共済金、もしくは、一時貸付金の貸付け、または、解約手当金を受給し、または、受給しようとした日から12か月を経過するまでに、再び加入申込みを行った方。
8.既に、共済契約者となっている方(重複加入はできません)。
以上ですが、注意した方がよいのは6番と7番です。
不正行為などの理由で、中小機構から強制解約された場合や、解約手当金などを受給した場合には、その後、12ヶ月以上が過ぎていなければ、再加入はできない仕組みになっています。
つまり、「1年間のうちに、解約して解約手当金を受取り→その後、すぐに再加入」といった事はできませんので、解約するタイミングをよく考えなければなりません。
そうしないと、例えば、解約手当金:800万円を受取った場合、この金額に対して税金がかかりますが、その年度内に、再び、中小企業倒産防止共済に再加入することはできないので、税金を払って終わり、という事になりかねません。
ですので、解約をする前に、きちんと、解約手当金を何に使うのかを決めておくことをお勧めします。
例えば、会社の赤字の相殺に利用する、設備投資に全額を当てる、社員の退職金として利用する、といった風に使途をあらかじめ決めておけば、解約手当金に税金がかからず、受取った金額の100%を活用することができます。
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の掛金と節税
毎月の掛金は、5,000円~200,000円までの範囲内(5,000円単位)で、自由に選択することができます(年間:240万円まで)。
また、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)に加入した後は、一定の条件がありますが、掛金を増額・減額することも可能で、また、掛金を前払い(一括払い)することもできます。
なお、前払い(一括払い)をすると、前納減額金が適用され、
掛金月額×5÷1000×(前納月数の累計)
という計算で出た金額が割引(後に、郵便振替払出証書が送付)されます。
そして、所得がないときなど、もし、掛金を納めることが難しい場合には、掛金の支払いを止めることもできます。
今までにも何度か繰り返し書いていますが、中小企業倒産防止共済の掛金は、支払った全額が課税対象の所得金額から控除されるので、大きな節税効果があります。
中小企業倒産防止共済の共済金の貸付と、一時貸付
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)では、取引先が倒産した場合に、積立てた金額の最大10倍のお金を貸付けてもらうことができます。
この貸付を受ける場合、無利子・無担保・保証人不要で利用できますが、その代わり、貸付けを受けた金額の10%が、それまでに積立てた金額から消滅する仕組みになっています。
つまり、それまでに300万円を積立てていた場合に、取引先の倒産により、3000万円を借りたとしたら、「積立てた300万円の全てが消えてしまう=後で、解約手当金を受取ることはできない」ということです。
これは、かなり厳しい貸付条件のように思えますが、今どき、中小企業に対して、無利子・無担保・保証人不要で、最大8000万円ものお金を貸してくれる銀行なんてありませんから、当然と言われれば、当然な気もしますよね(苦笑)。
たとえば、もし仮に、貸付けた最大8000万円が回収不能になれば、担保も保証人も取っていない中小機構は、多大なる損失を被ることになりますから、それを考えれば、「貸付金額の10分の1が消滅」というのは、妥当なのかもしれません(;^_^A。
なお、共済金の貸付の返済は、6ヶ月の据置期間を含めて、5年間となっています。貸付を受けてから6ヶ月が過ぎた後、54ヶ月の均等分割により、毎月返済をしていくという仕組みです。
ところで、中小企業倒産防止共済では、取引先の倒産による共済金の貸付以外に、それまでに積立てたお金を担保とした「一時貸付」を利用することができます。
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一時貸付で借りれる金額は、上記の通り、掛金総額(解約手当金)の最大95%までとなっていますが、無担保・保証人不要な上に、かなりの低金利でお金が借りられるようになっています。
そしてもちろん、借りたお金は、用途を問わず利用することができます。
また、お金を借りたら、すぐに返済が始まるというのが一般的な貸付制度ですが、中小企業倒産防止共済の一時貸付の場合には、「1年以内に、一括返済すればいい」という形をとっているため、すぐに返済しなくても良い点が大きなメリットです。
ただし、もし期限内に返済ができない場合には、借りた金額に対して、年利14.6%の延滞利子が付くことになりますので、この点には注意する必要があります。
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の解約手当金
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の解約手当金は、掛金を納付した月数&解約理由に応じて、掛金総額の75%~100%の間で、受取れる金額が異なる仕組みになっています。
納付月数 |
任意解約 |
中小機構解約 |
みなし解約 |
1月~11月 |
0% |
0% |
0% |
12月~23月 |
80% |
75% |
85% |
24月~29月 |
85% |
80% |
90% |
30月~35月 |
90% |
85% |
95% |
36月~39月 |
95% |
90% |
100% |
40月以上
(3年4ヶ月) |
100% |
95% |
100% |
※掛金総額とは、納付した掛金から、既に貸付けを受けている場合の貸付額の10分の1に相当する額を差し引いた額となります。
また、共済金や一時貸付金の償還に充てられた額なども、差し引かれることとなっています。
※なお、共済契約者が偽ったり、その他、不正の行為によって共済金等の貸付けを受けた場合、または、受けようとしたときは、解約手当金を受取ることができませんので注意して下さいね。
それでは、表に掲載している3種類の解約について、下に説明したいと思います。
- 1.任意解約(自由解約)
契約者が自由に行うことができる解約をした時です。
表を見ていただければ分かるように、1年以上の掛金納付をしていれば80%、3年4ヶ月以上の掛金納付をしていれば、100%の解約手当金を受取ることができます。
2.中小機構解約(中小機構による強制解約)
共済の契約者が12か月分以上の掛金の滞納をしたとき、または、不正行為によって、共済金の貸付けを受けようとしたとき等に、中小機構がおこなう強制解約です。
任意解約やみなし解約に比べて、5%少ない解約手当金しか受取ることができません。
3.みなし解約(自営業者の死亡、会社の解散、譲渡による解約)
共済契約者が死亡(個人事業の場合)、会社解散、会社分割(その事業を全部承継させるものに限る)、または、会社の全部を譲ったときは、その時点で、解約されたものとみなされます。
ただし、共済契約を承継(継続)が行われた場合には、解約にはなりません。
みなし解約の場合には、他の2つの解約よりも、5%~10%多い解約手当金が受取れるようになっています。
以上が解約種類の説明ですが、やっぱり、40ヶ月(3年4ヶ月)以上の納付で、任意解約をしても100%の解約手当金が受取れるというのは、中小企業倒産防止共済の大きな魅力ですよね。
ただ、「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)に加入できない人」でも少し触れましたが、解約手当金として受取ったお金は、個人事業主(自営業)の場合には所得として、法人契約の場合には、収益として扱われます。
ですので、解約の手続きをする前に、解約手当金の使用目的をハッキリとさせておくことを忘れないようにして下さいね。そうしなければ、受取った解約手当金に、多額の税金をかけられてしまいます(;^_^A。
・ 自分、もしくは、社員への退職金
・ 赤字の補填
・ 設備投資
・ 会社や事業の収益に繋がる投資
・ 自動車や自宅等の修繕など、金額が大きい商品・サービスの利用
など、解約手当金を効率よく活用するために、中小企業倒産防止共済を解約する際には、解約する前に、解約手当金の用途をハッキリとさせておきましょう。
以上が、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の説明ですが、中小企業倒産防止共済には、倒産防止という保険としての価値以外にも、節税、解約手当金の税制上の扱い、低金利での一時貸付など、多くのメリットがある魅力的な制度です。
なお、上に掲載したのは、中小企業倒産防止共済の掛金納付状況&領収書です。
僕の場合は、掛金を前納しているので、赤い四角で囲んだ場所を見ていただければ分かるように、11,200円の前納減額金が発生しています。
これは、掛金96万円に対して、1%以上の割引金額に当たりますから、もし可能であれば、前納一括払いを利用することをお勧めします。
また、繰り返しになりますが、掛金は全額控除となりますので、会社が大幅な黒字になった場合に、駆け込み的に節税したい場合にも、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、有効に活用できると思います。
・ 連鎖倒産の防止
・ 経営者や社員の退職金
・ 経営が悪化した時の補填
・ 自動車の買換え、オフィスの修繕など大きな設備投資の準備金
・ 決算月の駆け込み節税
など、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、とても利用価値の高い共済制度となっていますので、まだ利用していない経営者や個人事業主(自営業者)の方は、ぜひ、活用することをお勧めします。
また、自分が勤めている会社の万が一の保障として、社長に提案をしてみるというのも賢い選択だと思います(*^^*)。
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の公式サイト
参考 : 小規模企業共済と中小企業倒産防止共済が改善
: 中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済) お客様メニュー
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